サッカーキッズへの整体術(身体の歪みチェック)

利き足と軸足

 私達は2本の足で直立しています。ところが2本の足が同じ働きをしているかというと、必ずしもそうではありません。大きく二分して『利き足』と『軸足』の働きが左右の足で分担されています。 『利き足』は大きな力の出せる足で、正確には前に蹴り上げる力の強い足になります。
 
『軸足』は からだを支えてバランスをとる足です。こちらも正確には後ろに蹴り出す力の強い足になります。
ヒトは誰しもそれぞれ得意な動きというものがあります。また、好みの動きというものあります。
 子供の得意な動き、好きな動きを伸ばしてあげて運動能力を上げるのも一つの方法ですが、あまりに決まった動きに偏ると、それは『からだの歪み』につながります。同じ動きばかりすると、同じ筋肉しか使わないため、その筋肉が過剰に疲労してしまうためです。
今回はお母さんでもできる、お子さんの『からだの歪み』チェック法を紹介します。

チェック1

 まず、お子さんをうつぶせにします。
お子さんには肘を枕にして、顔をまっすぐにしてもらいます。
 足を力を抜いてまっすぐしましょう。かかとの位置を見てください。
どちらの足が短くなってないですか?
短くなっている方が軸足です。短くなっている方の足の後面が疲れています。

チェック2

 次に正座をしてみましょう。
膝頭の位置をみてください。
どちらかが短くなっていませんか?
短くなっている方が利き足です。
短くなっている方の足の前面が疲れています。


気になる結果

 お子さんのからだはどうでしたか?全くからだの歪みがないヒトはいません。
例外もありますが、だいたい、右利きの子ならば左足後面が、右足は前面が疲れています。
あまりに左右の差が大きければ、休息を積極的にとるか、疲れた筋肉をマッサージしてあげましょう。
 この2つのテストでだいたいのお子さんの疲労しやすい足の筋肉を特定してあげましょう。お子さんも自分のからだの癖を知ることがサッカーの上達の早道になると思います。

身体のバランスをとる方法

 ヒトは二本足で立ってます。普段何も考えずに行ってますが、他の動物(特に哺乳類)から見るととても複雑なことをしているのですね。鳥類はバランスを司る小脳が発達しているので二本足で立ってます。
 それ以外の陸上動物は、四本足でからだの支持面積を多くしてバランスを保っているのです。二足歩行のロボットが出来てすごいといってますがそれだけ複雑、精巧な処理をヒトの脳はしていると言うことなんですね。ちなみにチンパンジー、ゴリラ、猿などは厳密にいうと、二本足ではありません。常にコブシを地面につけて歩いています。変則的な四足歩行なんですね。ナックル・ウォークと呼ばれてます。
つまり、ヒトは四つ(両手足)の支持面のうち二つ(両手)を放棄して、細かい手作業をすることで脳を発達させたわけなんですが、それだけ負担が増えたのはどこか?と、いうと”足”なんですね。
日常生活ではあまり表舞台に立たない足ですが、スポーツ特にサッカーとなると話は別です。あまり普段意識していない足を激しい動作で酷使して、ある意味に手以上に意識して緻密な操作をしないといけません。
それで、今回はいちばん負担のかかりやすい足の裏、足首からからだのバランスをとる方法を紹介します。

足の裏のしくみ

 まず、私たちはからだを二本足で支えています。
では、さらに足の裏ではどこでからだを支えているのでしょうか?
 えっ!?と思われる方もいるのではないでしょうか。
足の裏全体、広い面積でからだを支えた状態の方が安定しそうです。静止した状態では、それで良いかもしれませんが、ヒトは動物です。動く物なので、そういう訳にはいきません。からだを動かすと重心が変化します。
 この時に足の裏一点のみでバランスを取っていると、つまずいたり、突然物がぶつかってきたときにとっさに身動きが取れないのです。場合によっては転んで怪我をしてしまいます。この悪い状態の足の裏が『扁平足』なのです。理想的な足は土踏まずがあって、三点で支持されていることです。
 その三点とは?(1)親指の付け根、拇指球といいます。
        (2)小指の付け根、小指球といいます。
        (3)かかとです。
運動時にこの三点が常に地面についていることはありません。
走リ出す瞬間、前足は地面を蹴りだそうと(1)拇指球と(2)小指球の二点で支持されます。つま先立ち状態ですね。
横に跳ぶ、サイドステップをするとき、跳んだ側の足は着地時に(2)小指球と(3)かかとの二点から着地します。
また、キックをする瞬間、軸足の裏は(1)拇指球よりの(3)かかとの二点支持になります。運動時にはこのような重心移動と変則的な二点支持が重なるものなのです。

足首の疲労の取り方1

 次は足首の状態です。足首、足関節の動きは四種類あります。
(1)屈曲、(2)伸展、(3)内がえし、(4)外がえし
 この四つの動きによって、どんなシチュエーションにも対応して足首はからだのバランスを取ります。動きや地面の形状に対して細かく変化していく重心を足裏で察知して、センサーのように働きます。その情報は足首の関節に伝えられ、瞬時に反応してからだのバランスを保つのです。

    屈曲      伸展    内がえし    外がえし

 足裏がセンサーとして働き、足関節が屈曲、伸展、内がえし、外がえしとバランサーとなり、柔軟な関節は地面からの衝撃を吸収するショックアブゾーバーとしての働きもあるのです。
 ただあまりに激しい運動で足を酷使したり前ページで紹介した三点支持がうまく行われていないと、足首が変な状態で固まってしまいます。だいたいが足関節の使いすぎた状態で固まっています。そうすると、前述のセンサー、バランサー、ショックアブゾーバーの働きがうまく機能しなくなります。
 足裏、足首は二本足で立つ土台です。その土台から歪み、その状態で日常生活をしていると上部の関節、膝や股関節、骨盤、背骨、場合によっては頭蓋骨まで歪みが起きてしまいます。まず、この土台である足首の疲労をとってあげましょう。

足首の疲労の取り方2


まず、お子さんに仰向けで寝てもらってください。
前回で軸足になっている方の足は確認していますか?そちらの足のかかとに指を引っ掛けて、真下に引っ張るように伸ばします。
 しばらく疲れない程度の力で引っ張り続けたら、片方の手でつま先をつかみ足首を外回しに20回、内回しに20回と回します。逆の足も行います。甲側に曲げた(屈曲)時に、股関節が動いているとベストです。膝が曲がってぐらぐらしている時は引っ張りが足りません。しっかり引っ張ってみてください。
 利き足側のほうは屈曲するときにしっかり足首を曲げてあげましょう。軸足は後ろが固くなり、利き足は前が固くなるからです。
 もちろんですが、怪我などで捻挫しているときは足首回しはやってはいけません。腫れが引いて、炎症がおさまってきてから、足首回しはして下さい。その時は、痛めた部位は固くなっているので柔軟性を取り戻すためにしっかりやって下さい。

足の裏のマッサージ

次に足裏のマッサージです。足裏は常に体重を支えているので、だいたい疲労しています。サッカーをすればなおさらです。からだの歪みを残さないように足裏の筋肉をゆるめてあげましょう。
うつ伏せになります。足首の上にバスタオルか何かで足の枕をつくります。足裏には重要な三本のラインがあります。

(1)中心線
(2)親指側のライン
(3)小指側のラインです。
お気づきの方もいらっしゃると思いますが、三点支持のポイントに関係するラインです。
(1)中心線は正しく真っ直ぐ歩くと重心は足裏の中央を移動します。日常歩いていていちばん重みがかかるところといえます。
(2)親指のラインは軸足を保持するときに使うラインです。踏ん張ったり、激しい動きの中、片足でバランスを取ったりするともっとも疲れるところです。
(3)小指側のラインは後ろ足にして、踏ん張るときこのラインをエッジにして踏ん張ると強い力が出ます。また(2)親指ラインが疲れてくるとこのラインで代用しようとします。
この三つのラインを順にかかとから指先までもんであげましょう。
 次にラインとラインの間を埋めるようにもんでいきます。そうやってすべての足裏の面をもんであげましょう。
 もみ方は両手で足裏をはさみ両手の親指を重ねて、かかとに向けて皮ふをずらしていくようにもんでいきます。三本ラインの部分でも特に土踏まずの部分が疲れていると思います。特に入念にもんであげましょう。足裏がやわらかくなると、疲れた腰の部分まで疲労がとれます。
 足裏マッサージは捻挫しているときも、捻挫の場所は決して触ってはいけません。ただ、それ以外の場所は積極的にもんであげましょう。かばって歩くため、足裏は特に疲れてしまいます。また、捻挫した部位と逆、外側なら内側をもんであげましょう。かばって固くなっている可能性があります。

これでばっちり!

 どうでしょうか?足裏がゆるむことでふくらはぎの筋肉もゆるみます。前回のうつ伏せのテストをしてみてください。
 うまく疲労が取れていれば、足の長さも変わってくるはずです。あくまで部分的な調整なので、完全に長さが同じになるとは限りませんが・・・。
だからといって、お母さんたちがむやみにお子さんのからだを治そうとするのもするのもよくありません。気持ちいい程度でやめておきましょう。あとはお子さん自身の回復力に任せましょう。疲労によって出ているからだの歪みは、お子さんの本来のからだではありません。それはつまり、お子さん本来の能力を最大限に引き出せていないということです。成長期のお子さんはまだ骨格も筋肉もしっかりしていないので、そんな状態で運動して疲労をためているとからだが歪み、正常な発達はみられません。
たまった疲労はできるだけその日に回復し次の日も元気にサッカーを楽しんでもらいましょう!!
HP「WBC和田ブルドックの整体術:http://fine.tok2.com/home/wbc/seitai1.htm 」より引用